リ・ホミ先生
アンニョンハセヨ、 先生。
天国では安らかにお過ごしでしょうか。
やっと韓国で「ウリハッキョ」の上映が始まり、先生との約束を果たせる時が来ました。
この間、本当に沢山の人々がこの映画を観覧し、映画の中で先生に出会い、多くの感動を受けました。先生もその方たち一人一人の顔を記憶されたことでしょう。
先生は天国でこのすべての過程を初めてから最後まで見守っていらっしゃったのでしょうね。ウンリョンと共に笑顔で眺めていらっしゃる先生のお顔が目に浮かびます。
先生は本当に暖かい笑顔をたやさない方でした。
その笑顔をみて、僕は初めて学校を尋ねた時も心が安らぎました。
憶えていますか、先生。
パク・テウと先生と僕と一緒に稚内という日本最北端に家庭訪問にいったときのことを。
あの時僕は永遠に続いているような2車線道路と窓の外の広い風景に心を奪われました。
僕が運転を代わろうかと言うと、テウが「韓国人の運転は怖いからイヤだ」と悪ふざけた言い方したのも思い出します。
その日、稚内に遅く到着してリョンファの家、ソジョンの家を訪問して同胞たちと夜遅くまで話をしながら楽しい時間を過ごしたんです。
先生がもし一緒でなければ、あの席がずいぶんぎこちなかっただろうと思います。常に周りの人々を明るくし、そして悩む後輩たちには暖かい心で勇気をくださった先生。
憶えていますか、先生。
映画を撮りはじめてまだそれほど経っていない春の日でした。
先生がそっと僕を校長室に呼んだのです。
そして「癌」と診断されたのだとおっしゃいました。
僕はそう寂しそうにおっしゃる先生の前で止めどもなく泣きました。
ウンリョンをあの世に送ってからまだいくらも経っていないのに、再び愛する人を送らなければならないことがとても悔しくてなりませんでした。
しかし先生はその明るい笑いで「大丈夫よ。ミョンジュンさん、私は大大丈夫」と言い僕の手をしっかり取ってくださいました。
先生はうら若い青春時代にウリハッキョに朝鮮語教員として赴任されました。
そしてその歳まで、ウリハッキョのすべての子供達の母として一生を朝鮮語教育に捧げられたのです。
そんな先生がカメラを持って編入班の授業を撮っていた私に不意に問われたのです。
「ミョンジュンさん、私の発音おかしくない?」
突然のことで僕はうろたえ、あまりに申し訳なくやるせない気持ちになりました。
教え子の前で僕にそう問う先生の姿にうろたえ、自分が母国語に対して深く考えずに暮してきたことが、30年間もの間朝鮮語教育に注がれた先生の愛情を前に恥ずかしく、また尊敬するリ・ホミ先生からこのような言葉を聞かなければならない現実がとても悔しかったのです。
憶えていますか?
先生のお宅を訪問した時、総聯の地域幹部のご主人がテレビを見ながら僕たちとお酒を召し上がる時も、先生は一日中学校で子供達と格闘してきた後なのにもかかわらず、台所で沢山の料理を作るのに忙しく僕と会話を交わすこともできなかったでしょう。
そして、娘のミリョンと息子のフィヨンの世話をするのにも忙しかったんです。 その時私はまだ同胞家庭は男性中心なのだと思いました。
全国のウリハッキョには多くの朝鮮語教員の中に「オモニ教員」がいらっしゃいますね。
大阪のホ・オクニョ先生も思い出します。
ご子息が亡くなり、その寂しさを癒そうと教員になられ、今ではウリハッキョの朝鮮語教員としてなくてはならない存在となったホ先生。
幼い頃、日本のあちこちを父を探してあるきまわるとき、ひもじいお腹を押さえながら馬屋で眠らなければならなかったという話を聞きながら僕はやっとのことで流れる涙を堪えていました。
リ・ホミ先生をインタビューした時
「私もホ先生のようにきれいに撮ってくださいよ、 ミョンジュンさん」と言ったその無邪気な笑顔を思い出します、先生。
愛するミリョンとフィヨンをおいて、先生がいらっしゃらないと食事の準備もままならないご主人をおいて、天国へとたたれる時どれほど心が痛かったでしょう。
朝鮮大学校にいる長女ミリョンがお母さんの容態を聞いて駆けつて来るまで目を閉じることができなかったというその話を聞いて私は胸がしめつけられました。
ミリョンに何かをささやいた後、先生はこの世を静かに去られました。
家族たちをよろしくというお話だったのでしょうか。
朝鮮大学校にミリョンが帰った後、一人で残ったフィヨンは同胞たちがよく面倒を見てくれたそうですね。
ご主人も地方に出張が多く留守がちなので、誰もいない家に一人で帰るフィヨンの心がどれほど寂しかったでしょう。
それで友達や先輩や弟たちが、フィヨンが寂しい思いをしないよういつも一緒にいてくれて、 その父母たちが卒業の時までよく面倒を見て下さったそうです。
憶えていますか?
すべての撮影を終了し、先生のお見舞にリ・ヘランと先生と一緒に病院に行った時のことを。 すっかり痩せてしまった先生の顔を見て、どうしても記念写真一枚取ろうと言う勇気が出ないでいる僕に先生が最後に写真でも撮ろうとおっしゃり、カツラをかぶって化粧もしておけばよかったとおっしゃったのです。
編集しながら、その写真を映画に入れるかどうか悩みました。写真を入れてみるとしきりに涙があふれるのです。
ソヒョン(助監督)がそれを見て「監督、この場面は入れないほうがいいんじゃないですか。いくら最後の姿だからといっても、先生はご自分の姿が人々にこんな風に記憶されるように願わないのではないですか」と言いました。
それで先生のその姿が映画には入らなかったのですが、今はそれでよかったと思っています。
先生が一番明るく笑っている姿をおさめようと、よい場面を捜したのですが、先生の姿をきちんと撮っておいたのがそれほどありませんでした。
それで合唱競演大会のとき、司会を終えたリョシルの顔を「よく頑張ったね」となでながらとても明るく笑ったその姿を映画におさめました。
日本の学校からウリハッキョに編入して来て朝鮮語の習得に苦労したリョシルが、司会をするほどになり、先生も同胞たちも本当に喜んでおられましたね。
リ・ホミ先生、
今日はこの南の地でウリハッキョの子供達の顔を皆に知らせる日です。 先生が教え育てて来た子供達です。
僕は先生の一生を捧げられた宝物たちを世の中に知らせるには役不足ではありますが、映画を見た多くの人々がウリハッキョの子供達を愛するようになって自分の胸に抱きたいと言ってくれます。
そんな言葉を聞くたびに本当にありがたく思います。
一度も故郷である南の地に来ることが出来なかった先生が、この映画を通じてでも南の人々の胸に深く深く残ったらと思います。
空の上で僕たちを見て先生が微笑んでいらっしゃることを祈って。
ミョンジュンより(2007/3/29)
※キン・ミョンジュン監督が
韓国公式ブログで連載している北海道朝鮮学校の教員紹介を翻訳転載します。(K)
- 2007/06/10(日) 05:14:46|
- ★「先生」を紹介します。
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韓国ライフスタイルマガジン
「スッカラ」7月号に映画「ウリハッキョ」の紹介記事(P88にカラーで一ページ)が掲載されました。
「朝鮮学校を取材したドキュメンタリー映画『ウリハッキョ』が
大きな話題に」というタイトルで(^^)
この雑誌、今まで何度か目にしながらも購入したことはなかったのですが、静岡・キン・ジョンス様より「『ウリハッキョ』の記事が載っていました」との情報を寄せていただき、早速近所の本屋で購入して来ました。
オールカラーで写真がとてもキレイな雑誌です。書店で見つけたら一度手にとってみてください。
☆ ☆ ☆
今日は埼玉、大阪、西東京で上映会がありました。(まだ上映中の所もありますが)それぞれ、どのような上映会となったのでしょう。情報お待ちしています。(K)
- 2007/06/09(土) 19:51:35|
- メディア掲載
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※6/5(火)国分寺Lホールでの上映会について3名の方からメール、コメントで報告をいただきました。
◎実行委員会 李様おかげさまで、会場が
210人の観客で満杯になりました。
予想をはるかに超えてしまい、少し戸惑いましたが・・・感想文はファクスを含め今も送られてきており、その場でカンパまでしてくださったかたもいました。
◎センガン様はじめまして、こんばんは。
西東京上映会でちらしをいただいたので転記します。
会場はとても人が多くて椅子を追加していました。
笑い声も多く、最後は泣き声..の会場でした。
☆朝鮮学校を知るための写真展
6月18日(月)~30日(土)(30日午後以外の土日は休み)
国立市役所1階で豊橋朝鮮初級学校、西東京朝鮮第一初中級学校の歩みの写真展が開催されるそうです。
☆「朝鮮学校ってこんなとこ」西東京朝鮮第一初中級学校 校長のお話
「韓国人映像作家が見た朝鮮学校」安海龍氏の講演
6月30日(土)午後2時~4時国立市役所
◎オッケトンムの会 ha_nyoong様上映当日、朝日の朝刊多摩版に上映会の案内が出ました。
東京地区では初公開との説明入りで。
Lホールに、新聞をみて来たと言って新聞の切りぬきを持ってくる人もいたとの事。
映画の主人公たちが、何人か朝鮮大学に在学中らしく(北海道朝高卒業生は朝大進学率が高いと聞いてます。)朝鮮大学生たちも来ていたそうです。
感想文の中にはパッチギよりも「イイ」なんていうのもありました。
「学校に」とその場でカンパした方もいたそうです。
日本の方にはかなりインパクトある映画みたいですよ。
国分寺の様子、(行っても無いのに)こんなところです。
※ ha_nyoongさん、行ってないのに、この情報はいったいどこから…(K)
☆ ☆ ☆
本日(6月7日)も町田で上映会あります!! 会場:西東京朝鮮第二幼初中級学校 体育館
(東京都町田市高ヶ坂1165
電話:0427-22-0051)
時間:午後6時半~8時半
- 2007/06/07(木) 10:23:18|
- ◎東京・上映会情報
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5月22日埼玉で映画 <ウリハッキョ>の監督-金明俊監督を招いて講演会が行われました。
急な招集にも関わらず、65人ものオンマ、アッパ達が駆けつけてきてくれて、講演会は大成功でした。
二時間の熱演に、参加したオンマ達は釘付けになり、話を聞いてました。
誰に感想を聞いても、改めてウリハッキョに子供を通わせてよかった、生活が厳しいけど頑張れる等々色んな感銘を受けてました。
サイタマンも<ウリ>という言葉の重み、深み、温かみなどもう一度深く考えさせられました(-_-)
監督!ハードな日程にも関わらず、疲れた顔一つしないで、埼玉を訪問してくれてコマッスムニダm(_ _)m お疲れさまでした。
主催者のオモニ会のオンマ達お疲れさまでした(^^)/
※埼玉在住「サイタマン」さんから投稿をいただきました。カムサハムニダ。埼玉での上映情報も詳細が決定次第掲載します。(K)
- 2007/06/06(水) 12:15:50|
- ◎埼玉・自主上映会情報
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いよいよ!!本日
6月5日(火)より西東京地方での上映会始まります!!
6/5日 国分寺Lホール
午後7時 上映開始!※映画をご覧になった方は、是非、当方(urihakkyo@gmail.com)に感想お寄せください。また、関係者の方、画像と共に当日の様子を伝えていただければ嬉しいです。よろしくお願いします(K)
☆ ☆ ☆
◎6月5日(火)会場:国分寺Lホール(JR国分寺駅ビル8階)
時間:午後7時~9時
◎6月7日(木)会場:西東京朝鮮第二幼初中級学校 体育館
(東京都町田市高ヶ坂1165
電話:0427-22-0051)
時間:午後6時半~8時半◎6月9日 (土)会場:西東京朝鮮第一初中級学校 講堂
(東京都立川市錦町4-7-12
電話:042-524-3204)
時間:午後7時~9時※各会場、上映30分前に開場します。観覧料:500円(当日券のみ)お問い合わせ:ドキュメンタリー映画「ウリハッキョ」西東京上映実行委員会
(電話:042-542-2777)
- 2007/06/05(火) 06:55:13|
- ◎東京・上映会情報
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私は韓国で生活し活動されるキン・ミョンジュン監督が日本にある「朝鮮学校」についての映画を作ってくださったことに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
なぜなら「ウリハッキョ」の大切さを最も知っているのは在日同胞であるけれど、最も知らないのもまた日本に住む私達だからです。
私はウリハッキョに通い、ウリハッキョで教鞭を執っていたこともありますし、子ども達もウリハッキョに通っています。
それゆえどんなことがあってもハッキョ(学校)を守っていかなければいけないという事は頭では分かっていました。しかし在日同胞社会にあまりにもどっぷりつかっているため、かえってウリハッキョの良い点、大切さを見失っていた気がします。
日本の学校と比べて劣る点だけ探そうとしてみたりもしました。そんな事ではいけないのに・・・面目次第もありません。
映画での北海道のウリハッキョの様子は、私達にとってはごくごく当たり前で見慣れた光景ですし、それは全国どこのウリハッキョのも同じだと思います。
私がウリハッキョに通った?十年前もそうであったし、教鞭をとっていた時の子ども達、教員の姿がそうであったし、現在私の子ども達が通っている学校の様子もまた、まったく変わらず何十年と見慣れてきたものなのです。
映画に映し出される光景は私にとってはあまりにも「普通」で、それなのにとめどもなく涙があふれてきました。
映画を見てあらためてウリハッキョの価値を心に刻むことが出来ました。
一世の心が2世の私に引き継がれ、私達の志向が3世の子ども達にも引き継がれていくことでしょう。いえ、必ずそうします。
映画の画面に映る子ども達を見ながらそう確信しました。
本当にありがとうございます。また日本千葉へ是非お越しください。
お体にお気をつけてお幸せに。 千葉県在住 池
※2007/5/19千葉での上映会の感想文を翻訳し掲載しました(K)
- 2007/06/04(月) 04:48:43|
- 観客が見た「ウリハッキョ」
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先日お知らせした6月29日の
渋谷での上映。
本日AM11時より
チケット発売開始です。
※チケット購入方法など詳細は東京自主上映委員会の運営するブログ-
映画「ウリハッキョ」応援ブログ をご覧下さい。
(http://blogs.yahoo.co.jp/urihakkyofan/7722093.html)
日本での「ウリハッキョ」自主上映で事前予約制をとるのは今回が初。
「ウリハッキョ」を一人でも多くの人に見てもらいたい!と賛同者を募り、それぞれ本業の合い間を縫ってチラシ・チケット製作、広報と走り回り準備しています。
全国それぞれ上映会を催す方々の熱い想いがあると思いますが、「渋谷関係者」もかなり熱いです。
是非会場へ足をお運びになり「ウリハッキョ」を「体感」してください。(K)
※福岡、埼玉でも上映会が決定しました。詳細は順次アップします。
- 2007/06/02(土) 06:29:20|
- ◎東京・上映会情報
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